海外FXの税制とは異なる?申告分離課税について詳細解説!

海外FXと国内FXは同じFXを扱いますが、実は適用される税制が異なります。それぞれにメリット、デメリットがありますので、それらを把握した上で使い分けることが肝要です。今回は、国内FXに適用される「申告分離課税」の税制について、海外FXの税制と比較しながら解説していきます。

申告分離課税とは

申告分離課税とは、給与所得とその他の所得を分けて課税する制度になります。たとえば、給与所得が年間500万円で、海外FXによる所得が100万円であるとします。税金を計算する際に、この2つの所得を合算せずに、それぞれ別個に税金を計算していきます。申告分離課税では、確定申告をして税金を支払うことになります。

所得の種類

所得税が課される所得は、全部で10種類あります。

  • 利子所得国債、社債、利子など
  • 配当所得株式配当など
  • 不動産所得家賃収入、地代など
  • 退職所得退職金、一時恩給など
  • 山林所得山林売却による所得
  • 譲渡所得株式、土地を売却した際の所得など
  • 事業所得事業運営で得られる所得
  • 給与所得給料など
  • 一時所得保険の返戻金など
  • 雑所得年金、FX、原稿料など他の所得にあてはまらないもの

 

海外FXの利益は「雑所得」に含まれます。

 

申告分離課税の対象となる所得

申告分離課税の対象となるのは下記の所得になります。

  • 利子所得、配当所得のうち源泉分離課税しない所得
  • 山林所得
  • 退職所得
  • 株式、建物、土地などの譲渡所得
  • 一部の先物取引による雑所得

 

源泉分離課税とは、先に所得税が控除された所得のことです。株式の配当などはあらかじめ所得税分が差し引かれたものは株主のもとに入ります。源泉分離課税が適用される場合は確定申告の必要はありません。

また、配当所得は「総合課税」か「申告分離課税」かを選択することが可能です。総合課税は「累進課税」が適用される税制になります。所得金額が大きくなるほど、税率が高くなるのが特徴です。総合課税の方がトータルの税率が低くなる場合は、総合課税を選んだ方がお得ですね。

海外FXは総合課税が適用される

FXの為替差益は雑所得となりますが、国内FXか海外FXかで扱いが変わってきます。国内FXの場合、雑所得でも「一部の先物取引による雑所得」に含まれ、申告分離課税が適用されます。申告分離課税が適用されると、税率は一律20.315%です。

これに対して、海外FXは「一部の先物取引による雑所得に含まれません。同じFXではありますが、海外業者が行っているか、国内業者が行っているかで税制に差がつけられています。海外FXの所得には申告分離課税が適用されず、総合課税が適用されます。よって、海外FXは累進課税の対象となり、所得金額が大きくなるほど税率が高くなります。累進課税では最大で55%ほどの税率が適用されるので、申告分離課税の税率と比べると高いといえます。

申告分離課税の確定申告

海外FXを利用した場合は総合課税扱いとなり、他の所得と合算して確定申告を行うことになります。国内FXを利用した場合は、通常の確定申告書に加えて「申告書第三表(分離課税用)」の記入が必要になります。加えて、確定申告の際に下記の書類を添付する必要があります。

  • 年間取引報告書
  • 給与所得の源泉徴収票(給与所得を得ている方)

 

年間取引報告書は、取引しているFX業者のマイページからダウンロードすることが可能です。海外FXの確定申告でも年間取引報告書が必要になってきます。海外FXの場合は、取引ツールのMT4から年間取引報告書をダウンロード可能です。

所得税の計算方法

所得税の納税額は下記の計算式にて算出されます。

(所得ー経費ー各種控除)×税率

国内FXの場合、申告分離課税が適用されるので、税率は一律20.315%です。

経費の範囲について、こちらは白色申告か青色申告かで範囲が異なってきますが、「FXで利益を出すために必要なもの」であれば経費として認められるケースが多いです。たとえば、FXの書籍代やセミナー代はFXの利益獲得と直接関係しているといえるので、経費計上可能になります。

海外FXでは総合課税が適用されるため、税率は累進課税により異なってきます。下記、所得金額ごとの税率です。

課税される所得金額 税率
195万円以下 5%
195万円超え 330万円以下 10%
330万円超え 695万円以下 20%
695万円超え 900万円以下 23%
900万円超え 1,800万円以下 33%
1,800万円超え 4,000万円以下 40%
4,000万円超え 45%

海外FXの所得は、他の所得と合算して所得税率が決定されます。基本的に所得金額が大きくなるほど、多く税金を支払うことになるので、どのくらいの所得でいくらの税率が適用されるか頭の中に入れておくようにしましょう。

申告分離課税では繰越控除が可能

申告分離課税が適用される国内FXでは繰越控除が可能になっています。繰越控除では、損失分を最大3年間繰り越すことができます。たとえば、前年に50万円の損失を国内FXで出した場合、翌年の確定申告の際に利益分と相殺することができます。繰越控除の結果、課税所得が0円になれば、たとえ利益が出ていても税金はかかりません。

繰越控除を利用するためには、損失が出ていても確定申告を行っておく必要があります。税務署側が損失を把握しておかないと、不正に繰越控除を行う人が出て来るためです。FXで損失を出さないことが一番ですが、出てしまった損失も無駄にせず利用することができるので、忘れないようにしてください。

損益通算で他の所得の損益と合算可能

申告分離課税のもとでは、国内FXの損益を他の金融商品の損益と合算して税率を出すことができます。これを「損益通算」と呼びます。たとえば、FXで50万円の損失を出して、株式売買で50万円の利益を出したとします。この場合、FXと株の損益を合算すると「0円」になり、税金が課されることはありません。仮に、株式の利益にのみ税金がかけられてしまうと、トータルで利益を得ていないのに税金を支払うことになってしまいます。このような事態が起こらないよう、損益通算で調整が可能になっているのです。

ただし、海外FXの場合は損益通算することはできません。海外FXは申告分離課税が適用されないため、利益が出た時点で税金が確定します。一度利益を出した後に損失が生じて、トータルで損失が多くなっても、支払う税金に変わりはありません。この点、海外FXは実質的に多く税金を支払うことになりかねないのです。

まとめ

申告分離課税は、特定の所得を独立させて、各々に税率を課す税制になります。すべての所得を合算して所得税を出す総合課税よりも、税率の面で有利になるケースが多いです。特に、FXで多額の利益を出している方ほど、申告分離課税の恩恵は大きいといえます。FXでは、申告分離課税は「国内FX」にしか適用されません。海外FXは総合課税で、累進課税となるので注意してください。